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危険負担
【きけんふたん】


双務契約の一方債務が、債務者の責に帰することができない事由で、契約成立後に消滅した(後発的履行不能という)場合に、他方の債務も消滅するか、それとも存続するかという問題。他方債務も消滅し、履行不能になった債務の債務者が危険負担を負う場合を「債務者主義」といい、他方債務はなお存続し、履行不能となった債務の債権者は自分の債務を果たさなければならない場合を「債権者主義」という。例えば、Aが所有建物をBに売買する契約を結んだ後、履行期前に、津波で当該建物が滅失したとする。この場合、買主Bの売買代金債務も消滅し、危険はAが負担するのを「債務者主義」、なおBに売買代金支払債務が残り、危険はBが負担するのを「債権者主義」という。建物の売買のような特定物に関する物権の移転を目的とする双務契約では、民法上は「債権者主義」が採用されて、例では買主Bが売買代金債務を負うことになる。しかし、危険負担に関する規定は任意規定であり、実務上は、売主が危険を負う(債務者主義)特約を結ぶことが多い。




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「プロフェッショナル用語辞典 不動産ビジネス」
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