100辞書・辞典一括検索

JLogos

20

鳥居・華表
【とりい】


torii

【古代】神社の入り口に立つ一種の門。左右二本の柱の上に笠木(かさぎ)を渡し、その下に柱を連絡する貫(ぬき)を渡したもの。笠木には二種あり上代からの直線式のものと、仏教伝来以後の反(そ)りをもたせたもの(これがトリイの原点)。なお貫(ぬき)も柱をつらぬくものとそうでないものとがある。木、石など材料も主に二種。色も朱、黒、白木のままなどがみえる。[中国語]華表、牌坊。the gate of a shint^{o}-shrine.

【語源解説】
鳥居は古代、〈鶏栖〉と書くように、神への幣(ぬさ)(捧げ物)としての鶏のとまり木(栖)を示す。直接には、トリイの笠木がそれである。笠木も断面が丸、五角形などさまざまある。

【用例文】
○鶏栖 切韻〔中国字書〕ニ云フ椙、今之門、鶏栖也/鶏栖mini{鳥居也}(和名抄)○黒木の鳥居(とりゐ)(源氏)○とりゐたつあふさか山のさかひなるたむけの神よわれないさめそ(夫木抄)○鳥居(トリイ)、唐ニハ花表ト云フ(下学集)○新宮ニハ……鳥居(トリヰノ)額(カク)ニ云、日本第一大霊験所({あい}嚢抄)○Torij. トリイ 神社の正面にある一種の門(日葡辞書)○華表(トリヰ)mini{神門}、鳥居(同)(易節用集)○華表(トリヰ) 古宮、神輿(ミコシ)、いなり、華表の再興。願立(グハンダテ)/鳥居(トリヰ)、石、柱、神、垣(カキ)、額(ガク)、赤(アカキ)、朱(シュ)(類船集)○としごとに鳥居の藤のつぼみ哉/一の華表の陰ほのぐらく(芭蕉)○鳥居を越す{とりいをこす@鳥居を越す}〔海千山千、ときに超能力をもつ譬喩〕(西鶴)○華表(トリヰ)、鶏栖(同)、鳥居mini{和俗所用}(書言字考)○かゝるせりふはよっぽど、とりゐのかずをとびこへたる〔老獪な〕ふるぎつねにてなくてはいわれぬほどのちゃらくら〔ごまかし〕なり(洒落本)○奥家老鳥居の前で吟味をし/鳥居ぎわへゝんといつて下女残り/鳥居もかまわずたれてくる朝帰り/通俗の小便無用鳥居也(川柳)○トリヰ鳥居(ヘボン)○靖国神社の華表(とりゐ)際に鵠立(たゝずん)でゐる(二葉亭四迷)
【補説】
〈鳥居を越す(くぐるとも)〉は狐が稲荷(いなり)の鳥居を数多く越すことで霊力をますということから、老獪となるなどの譬喩で用いた。また〈小便無用〉のまじないに鳥居の絵を描く古くからの習慣があった(最近はみえない)。なお中国語〈華表(カヒョウ)〉は学校のあることを示すために立つ柱で、門の形をとるトリイと形、内容とも根本的に異なる。




東京書籍
「語源海」
JLogosID : 8537886