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律令国家ってどんなしくみ?


律令国家ってどんなしくみ?

◎「律」「令」とは刑法と行政法のこと

 律令国家とは、「律令[りつりょう]」という法律にもとづいて国が運営されている国家のこと。「律」は、いまでいう刑法にあたり、「令」は国家統治組織や官吏服務規定などを含んだ行政法一般のことをさす。

 4世紀に成立した大和政権は、大王[おおきみ](天皇)を中心とする畿内豪族の連合政権で、氏姓[しせい]制度と称する支配体制をとってきた。この制度は「氏[うじ]」(血縁的組織)の首長である氏上[うじのかみ]が、朝廷から「姓[かばね]」という政権内の地位をもらい、国家運営にたずさわるというシステムである。しかし、645年に始まる大化改新以後、国家の中央集権化がすすみ、遣唐使により唐の「律令」の詳細が明らかにされると、朝廷でも律令制度を導入していく。

 わが国初の「令」は、天智[てんじ]天皇が668年に制定した「近江令[おうみりょう]」だとされる。ただし、その存在を疑う声もある。その後、天武天皇のときに「飛鳥浄御原令[あすかきよみはらりょう]」がつくられたが、本格的な律令は、文武[もんむ]天皇の701年に、刑部親王と藤原不比等[ふひと]が編纂した「大宝律令」である。718年の「養老律令」は、この大宝律令に多少の改変を加えたものだ。

◎日本式にややゆるやか(!?)な律令

 中国を模倣したといっても、まったく同じシステムをそのまま導入したわけではなく、日本の実情に合うように修正している。昔から日本人は、独創性より改良に優れていたようだ。たとえば、政治機構の中心をなす太政官の権限を中国より強化したり、神祗[じんぎ]官という祭祀機関を、政治機構のなかに太政官とともに併置するといった工夫をしている。

 また、官吏の採用には、中国の「科挙[かきょ]」のような厳しい試験制度を設けず、有力者の師弟を無試験で登用している。いうまでもなくコネ採用だ。

◎「格式」は律令の修正・施行の決まり

 養老律令以後、新たな律令は制定されなかったが、かわりに9世紀から10世紀にかけて「格式[きゃくしき]」というものが制定される。「格」とは律令を補足・修正する勅令・官符をいい、「式」とは律令と格の施行細則のことである。




日本実業出版社
「早わかり日本史」
JLogosID : 8539515