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原料と製法


原料と製法

発祥の頃のウオッカはライ麦のほか糖蜜が原料だったようだが、やがて小麦、大麦、その他の穀物も使われるようになり、18世紀にはトウモロコシやジャガイモが加わる。さらに牛乳や果物、甜菜(ビート)、サトウキビなどを使用するものもあり、スピリッツの中では、日本の焼酎と同じく様々な個性を持つ酒として人気がある。種類としては、通常の工程で造られるレギュラー・タイプと、フルーツや草根木皮など様々な香りを加えたフレーバード・ウオッカに大別される。フレーバード・ウオッカは多種多彩で、最も有名なのがポーランドのズブロッカ草を香りづけにしたズブロッカ。このほか、りんごや梨の新芽、レモンの果皮、オレンジ、さらにはジンに不可欠なジュニパーベリー(ネズの実)やブランデーを香味づけに使うこともある。
さて製法だが、糖化・発酵・蒸溜までの過程はほかのスピリッツと大きな違いはないが、蒸溜で抽出したアルコールに水を加えて度数を40~60度にまで下げた後、白樺やアカシアの活性炭で濾過する工程が、ほかにはない特徴だ。濾過することによってまろやかな味わいが生まれるという。また、複数回の蒸溜や濾過を行うものも少なくない。多くは濾過後瓶詰めされるが、ドイツやポーランドなどでは蒸溜後に樫の樽で半年間熟成させるものもある。
アメリカをはじめ多くの国ではカクテル(スクリュー・ドライバー、ソルティ・ドッグなど)ベースとして親しまれるウオッカも、本家ロシアでは、冷やしてストレートで楽しむことが多い。
本書では、本家ロシア、世界一の消費量を誇るアメリカ、発祥地説もあるポーランド、同じく古い歴史を持つ北ヨーロッパ、それぞれのウオッカを紹介している。
余談ながら、2007年の日本ダービーでは64年ぶりに牝馬が優勝し話題を呼んだが、その馬名が「ウオッカ」。熱狂的な競馬ファンたちが、こぞってウオッカで祝杯を上げたとか…。




東京書籍
「洋酒手帳」
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