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荒蔵(中世)


 戦国期に見える地名。都留【つる】郡のうち。荒倉・アラ蔵とも書く。「妙法寺記」によれば,永正14年正月,都留郡守護小山田氏の有力家臣小林尾張入道が駿河から侵入した今川氏親軍の籠る吉田城を攻めるため,「荒蔵」に出陣している。また,天文7年にも甲州と駿河の対立のため,富士吉田一帯では,しばしば小合戦があり,上吉田や新宿が夜討されたとあるが,「妙法寺記」の新宿は「勝山記」では新倉となっている。下って,天正8年閏3月11日の小山田信茂判物によれば,荒倉の甚右衛門尉の田地290目とまるひ地250目,都合540目の地が助右衛門に与えられている(渡辺三太郎家文書/甲州古文書3)。また,「高野山引導院過去帳」には「姓性〈同国同所(甲州鶴郡)ノアラ蔵ノマコ右衛門立之 天正十四年八月六日〉」と見える。なお,当地には文禄3年の検地帳が残り,それには新倉村とあり,村高は147石5斗2升と記されている(奥脇義治家文書/同前)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典(旧地名編)」
JLogosID : 7335039