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藤林寺
【とうりんじ】


宿毛(すくも)市平田町戸内の堂ケ谷にある寺。曹洞宗。山号は見立山。本尊は釈迦如来。戸内集落の南端,幡多郡三原村へ通じる峠の基部に所在。一条土佐守房家(天文8年没)が開基となり,彼の帰依した印宗道可を開山に迎えて創建。当地を訪れた房家が山林の藤花を家紋に見立てたとの故事が山号の由来で,彼の法号藤林寺殿を寺号とした。土佐一条家初代房家の菩提所で七堂伽藍を備え,脇坊12か寺,寺領300石を有したという(土佐国寺院帳禅宗洞家ノ部写/皆山集)。一条家の保護を受けた時代,幡多7万石の僧録所とされたが(藤林寺記/宿毛市史),長宗我部氏の支配下では寺領3町6反の寄付のみで,次第に荒廃した(皆山集)。天正17年の平田村地検帳に「トウリンジ」寺中として4反余が見える。江戸期,山内一豊の土佐入国の際に寺領5石を給され,ほかに境内山林を与えられた。開山の道可が伊予国宇和郡奈良谷竜沢寺の4世であったため,7世梅軒和尚までは同寺末で,以後は高岡郡下分村元亨院(現須崎市)へ転じ,幡多郡内に17末寺をもった。明治4年廃寺となるが,同16年県令宛の再興願を出し,同18年許可され,同20年再建落成して今日に至る(前記寺院帳)。境内に一条房家の石造五輪塔とその左右に2代房冬,3代房基の卵塔が並び,房家墓石は市史跡。なお旧暦7月16日夜に一条氏の遺徳をしのんで野菜祭り(市無形民俗文化財)と呼ばれる施餓鬼と竹まわしの行事が行われる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7206845