オプジーボ
【おぷじーぼ】
患者の免疫の働きを利用してがんを治療する「免疫チェックポイント阻害剤」という新しいタイプのがん治療薬。延命効果が高い一方で、薬価が高いことでも注目されている。
がん細胞を直接狙って攻撃する「分子標的薬」とは異なり、人間が本来持っている免疫力を高めてがん細胞を攻撃する。がん細胞には人間の免疫力にブレーキをかける働きがあるが、オプジーボの抗体物質が、がん細胞のブレーキの仕組みを阻害する。
皮膚がんの一種である悪性黒色腫の治療薬として承認され、2015年12月に非小細胞肺がんへの適用が承認された。京都大大学院の本庶佑客員教授らのグループがメカニズムを発見し一部の皮膚がんの治療薬として2014年9月に発売された。皮膚がんの治療薬として保険適用が認可され、15年12月に肺がんにも適用が認可されている。
日本での販売元は小野薬品工業。優れた治療効果が認められているが、体重60キロの肺がん患者が点滴として使用すれば、年間約3500万円かかるとされることから、公的保険が使える対象患者が急増し、医療保険財政への影響が懸念されている。
このため厚生労働省は、オプジーボの薬価を、2017年度と18年度の2段階で引き下げる方向で検討している。17年4月に最大25%の薬価引き下げを想定し、中央社会保険医療協議会(中医協)に提案。17年度に引き下げを実施し、さらに18年4月に追加値下げをする意向で、下げ幅は財政当局や製薬業界などと調整し中医協で検討を進めるとみられる。薬価改定は原則2年に1度で、オプジーボは通常の改定期を待たずに引き下げることになり、追加値下げは異例の対応となる。(Ando,2016/11)
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