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PKO


Peace‐keeping Operations

 紛争の拡大防止や休戦協定履行監視、または選挙監視のため、加盟国が自発的に提供した要員を国連が編成し、派遣すること。非武装の監視団と軽武装の平和維持軍(PKF:Peace‐keeping Force)とに大別される。後者は侵略国等に攻撃を加え制圧すること(強制行動)が目的ではなく、軽武装で紛争当事者の間に割って入ることを主眼とする。国連の権威を背負う国際軍が紛争地域に存在すること、いわゆる国連プレゼンスによる紛争拡大防止策。兵力提供が強制でなく加盟国(原則的に中立的な中小国)の自発に待ち、派遣も受け入れ国の同意に基づく点(同意原則)、自衛のため以外は武力を行使しない点(自衛原則)、紛争当事者の一方に加担する行為は慎む点(中立原則)などで、集団安全保障体制下の強制行動とは本質的に異なる。憲章第6章に基づく紛争の平和的解決にも、第7章に基づく強制行動にも分類し難いという意味で、6章半活動とも呼ばれる1988年ノーベル平和賞受賞。非武装停戦監視団としては、48年の国連パレスチナ休戦監視機構(UNTSO)、武装した平和維持軍としては56年の第1次国連緊急軍(UNEF・I)が最初の例。その後、通算61回設置され、うち16活動が現在も続行している。冷戦終結後、急に展開が増え、最盛期には84カ国から6万6000人を超える要員が派遣されたが、その後収縮したのち再び回復し、現在はまた7万2000人を超える2006年6月までの死者数は2272人超。89~90年の国連ナミビア独立移行支援グループ(UNTAG)や92~93年の国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)のように、平和維持軍・停戦監視団・選挙監視団といった複合的機能を持つものが増えた。また国連イラククウェート監視団(UNIKOM)はいわゆる「6章半活動」ではなく憲章第7章に基づく点で、UNIKOMと旧ユーゴスラビアの国連保護軍(UNPROFOR)は紛争当事者完全な受け入れ同意なしに実施された点で、それぞれ慣例を破った。さらに、増強された第2次国連ソマリア活動(UNOSOMII)及びUNPROFORは、自衛の範囲を超える広範な武力行使権限を与えられ、いわゆる平和執行部隊となり、従来の平和維持活動が変質したともいわれた。




朝日新聞社
「知恵蔵2009」
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