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夷王山
【いおうさん】


威王山とも書く。檜山地方上ノ国町にある山。標高159m。檜山道立自然公園のうち。東に天ノ川のつくる沖積地,北に日本海をひかえた要害の地。地質は新第三紀層中新世の石崎層(砂岩・泥岩・集塊岩)や神明層(礫岩層・頁岩層)と同時期に流出したプロピライトからなる。付近の地形は起伏に乏しいが,夷王山のみは突出する。山頂には,明応3年山麓の勝山館で没した蠣崎(武田)信広を祀る夷王山神社がある。古くは医王山神社・同薬師堂があり,上ノ国三社の1つとして松前家の崇敬を集めた。エゾヤマツツジの名所で,6月第3日曜日に夷王山まつりが行われる。周辺一帯は史跡に富み,山麓にある上ノ国勝山館跡(国史跡)は信広が居館した館跡。夷王山墳墓群(道史跡)は140基に及ぶ道内最大の中世火葬墳墓群で,勝山館に関連する和人の墓と考えられ,蠣崎氏一族の墓も含まれる。この火葬墓の存在から,北陸一向宗門徒の上ノ国への移住も推定される。また山麓一帯は15世紀コシャマインの蜂起の際の一大決戦場であった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7000454