100辞書・辞典一括検索

JLogos

22

雨竜川
【うりゅうがわ】


空知地方を流れる1級河川。石狩川水系の支流。流路延長177.0km,流域面積1,772.3km(^2)。天塩山地のピッシリ山(1,031.5m)を中心とする分水嶺に水源をもち,山地内を南流して石狩平野に出,石狩川に注ぐ。流域には,上流から幌加内町・深川市・沼田町・秩父別(ちつぷべつ)町・妹背牛(もせうし)町・北竜町・雨竜町・滝川市の2市6町が連なる。水源近くは右岸側からプトカマンベツ川・ウツナイ川・朱鞠内川に分岐し,人造湖の朱鞠内湖・宇津内湖がある。中流の山間部では,幌加内町・深川市の境界にあたる分水嶺に大きな先行谷をつくるほか,雨煙別・幌加内などに河谷盆地が開け,河岸段丘も発達する。下流の石狩平野部では,右岸側に幌新太刀別(ぽろにたちべつ)川・美葉牛(びばうし)川・恵岱別(えたいべつ)川の大支流を集め,著しい蛇行の跡を物語る大小の河跡湖を伴い,かつては雨竜原野と呼ばれる低湿地であった。石狩川への合流点は,雨竜町市街の東方にある。安政4年松浦武四郎は,石狩川筋探査の際に雨竜川を溯上し,幌加内付近まで至ったが,この川筋が肥沃なことを述べている(石狩日誌)。明治21年華族組合農場の雨竜農場が開かれたのが開拓の始まりで,大正期末には流域は道内有数の稲作地帯となった。幌加内町雨煙別から上流左岸は北海道大学演習林,沼田町北部から上流右岸は,かつて宮内省御料林で,戦前は盛んに伐採された。搬送は,大正期末までは流送が主で,石狩川まで流し,明治35年頃年数万石を扱う砂川の貯木場の多くは雨竜川からのものであったが(砂川市史),雨竜鉄道(現深名線)の開通により流送はすたれた。上流の朱鞠内湖・宇津内湖の両ダムは,おもに北空知・上川両地域の電源開発と灌漑のために,昭和18年に完成した重力式ダム。5万1,000kwの電力を生み出す一方,三股から上流の水系を天塩川に切り替えている。このため中・下流は水不足をきたすこともあり,昭和28年,中流にこれを補う役割も果たす鷹泊ダム(深川市鷹泊の上流)が完成(電力5,000kw),戦後の道電源開発の第1号となった。雨竜川は,開拓初期の原始河川のもとで度々水害を起こし,下流の蛇行部での氾濫が著しかった。昭和16~32年に,蛇行の著しい5か所,延長12kmの河川切替えを行い,昭和26年からは北海道開発局が護岸工事に着手し,同43年に全面完成した。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7000970