100辞書・辞典一括検索

JLogos

19

奥尻島
【おくしりとう】


檜山地方江差町北西61kmの日本海に浮かぶ島。北海道最西端の離島で,周囲84km,東西11km,南北27km,面積143.3km(^2)。道内の属島中,利尻島に次ぐ規模で,初松前(はつまつまえ)と呼ばれる南海岸の砂丘地帯には,松前藩の始祖武田信広が上陸居住したという城や寺院跡がある。北海道本島とは,島の東側の大陸棚でつながるが,西側では水深200mの大陸棚が一挙に約3,000m落ち込み,急崖をなす。分水嶺は西側に偏し,神威(かむい)山(585m)を最高峰とし,幌内川・青苗川などの小河川に刻まれ,滝が多い。北半部は花崗岩と安山岩,南半部は第三紀層と第四紀層が多い。北西岸を除く全島に海岸段丘があり,特に南部で発達する。道内では,四季を通じて寒暖の差が少なく比較的積雪量が少ない。1島1郡1町で,中心集落は東海岸の奥尻と南端の青苗。島全体には17の集落があり,比較的平地が多く,北西の季節風の影響の少ない東海岸に集中する。主要産業は漁業でイカ・ホッケ・アワビ・ウニなどが主な漁獲物。特に種アワビの育成に力を入れ,国内各地に出荷するが,最重要漁獲物のイカが年々姿を消し,200海里規制から日本海サケ・マス漁も不振となり,ここ数年漁業人口が激減。北海道の離島中では唯一,水田(約50ha)を有する。一時期西海岸の幌内で硫黄が採掘されたが閉山し,昭和32年に発見された黒曜石鉱床の採掘が続く。最近の離島ブームで観光客が増え,島の重要な産業となってきた。島への交通は江差~奥尻間のフェリーボートのほか,函館と札幌からの飛行機の定期便があり,夏には瀬棚~奥尻間のフェリーボートも運行される。島の観光地としては稲穂岬の賽の河原,奥尻の鍋釣岩,西海岸の神威脇温泉,幌内温泉などがある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7001375