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渡島山地
【おしまさんち】


北海道本島から南西に延びる渡島半島を形造る脊梁山地。渡島・檜山・後志の3地方にまたがる。日本内帯のグリーンタフ地向斜の北方延長部に当たり,地質構造的にも東北地方と類似する。黒色粘板岩・砂岩・チャートなどの古生層や中生層を基盤とし,その上に緑色凝灰岩の福山層に始まる新第三系が載り,後期中生代および古第三系の海成層を欠く。長万部(おしやまんべ)と寿都(すつつ)湾を結ぶ黒松内低地帯の北東部では新第三紀層を新期安山岩が覆い,積丹(しやこたん)岳(1,255.3m)・余市岳(1,488.1m)・恵庭岳(1,319.7m)・風不死(ふつぷし)岳(1,102.5m)・樽前山(1,038m)と続く火山列と,雷電山(1,211.7m)・ニセコアンヌプリ(1,308.5m)・羊蹄山(1,893m)・有珠(うす)山(727m)の火山列がほぼ北西から南東方向に連なる。諸火山の間には赤井川・洞爺・支笏・倶多楽(くつたら)などのカルデラが分布し,湖をつくり温泉を湧出する。ニセコ積丹小樽海岸国定公園・支笏洞爺国立公園に属する。黒松内低地帯の南部は新第三系を主とするが,古生層や中生層,それらを貫く花崗岩も分布し,火山も見出される。主山峰をなす遊楽部(ゆうらつぷ)岳(1,275.2m)・大千軒岳(1,071.6m)・乙部岳(1,016.6m)は古生層やそれを貫く花崗岩からなり,狩場山(1,519.9m)・駒ケ岳(1,133m)・恵山(618m)・函館山・横津岳は火山で,安山岩からなり,濁川はカルデラ盆地である。一部は大沼国定公園に属する。渡島山地を開析する川には,日本海に注ぐ余市川・岩内川・尻別川・利別(としべつ)川・厚沢部(あつさぶ)川などがあり,長流(おさる)川・遊楽部川などは内浦湾に注ぐが,いずれも短小で谷底平野は狭い。渡島山地南部にある檜山地方厚沢部町の鶉川ゴヨウマツ自生北限地帯は昭和3年,国天然記念物に指定された。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7001447