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牡蠣島
【かきじま】


釧路地方厚岸(あつけし)町の厚岸湖内西部にあるカキ礁。最上徳内の「東蝦夷道中記」には沼の中に「ビバモシリ」という島があり,アイヌ居住し,「松前人蠣島と唱」と記される。汽水性の厚岸湖に天然カキが堆積して形成された大小65のカキ礁(カキ島)の1つ。明治12年に開拓使によりカキ缶詰所が設置され,同22年には牡蠣灰(石灰)の製造も行われた。当初は鑑札制度により100名にカキ採取の鑑札が交付され,宮城県や網走地方のサロマ湖から稚貝が移入されて資源の維持が図られた。明治39年には区画漁業権として252名の漁業者に採取許可が与えられ,一時は100tを超える水揚げもあった。昭和58年には14経営体が7,600万円を漁獲し,道内ではサロマ湖に次ぐ。島の基盤は砂岩で,アッケシソウ(サンゴソウ)・シバナ・ウミシドリなどの塩性植物,ハマニンニク・ハマオクルマなどの海浜植物48種の群生地としても知られ,大正10年に国天然記念物に指定されたが,その後の地盤沈下で植物群落は消失した。毎年10月10日にはカキまつりが開催され,現在湖内ではアサリ・ノリなどの養殖も行われる。同名の島礁はサロマ湖東端の栄浦浜地区にもある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7001815