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神居古潭
【かむいこたん】


旭川市南西部にある石狩川の峡谷。夕張山地の北部に位置し,石狩平野と上川盆地との境界をなし,語源はカムイ・コタン,神の居所とされる(北海道の地名)。本来は下流部にある神居古潭の釣橋から上流の春志内までの急流部分を指し,かつては釣橋付近で舟を下り,春志内まで陸行して,再び舟で上川盆地に入ったという。古くは鴨居古丹(かもいこたん)とも書き,「蝦夷草紙」にもこの地区におけるアイヌ集落の所在にふれている。「石狩日誌」では「神処〈カモイコタン〉」と記され,「此辺湍灘激流数ケ所。其処は水にて舟を押上せ等し,凡九ツ半過に神処に到る。両山数十丈壁立」と記されている。この峡谷の成因については石狩川が夕張山地を横切る先行谷とする説と,元来は神居古潭帯と呼ばれる中世代の変成岩の構造に起因するという考えなどがある。この神居古潭帯は蛇紋岩や輝緑片岩からなり,明治7年にB.S.ライマンが古潭石と命名,河床には多数の甌穴や奇岩が発達している。峡谷の右岸には昭和44年の電化まで国鉄函館本線が通じた。明治34年に開設された神居古潭駅は市郷土博物館分館,旧路線はサイクリング・ロードに転用された。また左岸には神居国道とも別称する国道12号が走る。下流部には道史跡の神居古潭竪穴住居遺跡があり,200個をこえる竪穴とチャシコツと推定される遺構がある。新緑や紅葉の時期には古くから旭川市民の行楽の場として親しまれている。函館本線の張碓駅西側の集塊岩からなる高さ100~200m海食崖の区域も同じ呼称で,明治13年に開通した幌内鉄道の中では最大の難所とされた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7002219