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駒ケ岳
【こまがたけ】


渡島(おしま)富士ともいい,内浦岳(松浦武四郎:東蝦夷日誌)とも呼ばれた。渡島地方七飯(ななえ)町,砂原(さわら)町,森町の境界にある山。標高1,133m。渡島半島の内浦湾(噴火湾)南岸に位置する活火山で,大沼国定公園に属する。山名は馬に似た山容に由来するといわれる。山体は北方から望むと富士山型(コニーデ式)の火山地形をなすが,南の大沼側からみると,西には両輝石安山岩からなる剣ケ峰が鋭い山峰を示し,東に馬の背と呼ばれる山頂があり,特異な山形をなす。頂上部には東に開いた長径2km,短径1.5kmの馬蹄形火口があり,北壁の砂原岳(1,114m),西壁の剣ケ峰,南壁の馬の背から隅田盛(892m)が囲む。山体基底部は直径約17kmで,山麓は裾野が広く,軽石流堆積物や降下軽石,火山灰などで覆われ,山体斜面には多数の雨裂が放射状に発達する。駒ケ岳の有史以後の大噴火には寛永17年・明和2年・安政3年・昭和4年があり,特に昭和4年の噴火は降下軽石とともに軽石流を伴った。山麓の大沼・小沼・蓴菜沼などは噴出物により折戸川がせき止められて生じた。噴火の際の泥流堆積物は,湖や周辺の大小無数の流れ山,湖中の100余の島となり,独特の景観をなす。駒ケ岳は登山やハイキングの適地として知られ,登山口は駒ケ岳駅利用の駒ケ岳コース,銚子駅からの東大沼・銚子口コースがある。山頂・馬の背・砂原岳山頂に囲まれた標高800m以上にはウラジロタデ・ヒメスゲなどの群落,砂原町・鹿部町・森町・七飯町方面の標高100m以上にはミネヤナギ・イヌコリヤナギ・ススキ・ドロノキ・ウダイカンバ・シラカンバ・ウラジロタデなどの群落がある。大沼湖畔を中心に南側中腹から山麓には落葉広葉樹林が多くダケカンバ・シナノキ・カシワが茂る。山麓は昭和40年代後半から観光開発が進み,ゴルフ場・別荘地などとなり,自衛隊の演習場もある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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