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札内川
【さつないがわ】


十勝地方を流れる1級河川。十勝川水系の支流。流路延長82.0km,流域面積707.0km(^2)。日高山脈中央部の札内岳(1,895.5m)に水源をもち,山脈東側を刻んで十勝平野を北北東に流れ,帯広市街東部で十勝川に注ぐ。途中,戸蔦別川などを合わせる。流域は,大半が中札内村・帯広市に含まれ,十勝川との合流点付近は幕別町・音更町の境界になる。上流部は壮年山地に険しいV字谷を刻むが,谷あいから平野部は開析扇状地・河岸段丘群が広がる。寛政12年,幕府八王子千人同心皆川周太夫が十勝川を遡上して合流点の札内太に至り,安政5年松浦武四郎が札内川経由で十勝川を探検した(東蝦夷日誌)。流域の開拓は,明治30年旧幸震村に加賀・越前団体が入植したのに始まる。沿岸の沖積地は肥沃なものの,山脈から流れる灌漑水の水温の低さから,稲作は進展せず畑作中心に酪農を加えた農業地域になっている。札内川は上流が急峻で,夏・冬の渇水期には水量が少ないが,多雨期には急激に水かさを増し,暴れ川といわれる。流出土砂の多いことも特徴で,昭和29年に中札内村が独自で上流に建設した発電目的の札内ダムは,翌年の豪雨で埋積され,放棄せざるをえなかった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7003382