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春国岱
【しゅんくにたい】


根室市の風蓮湖の前面にある砂州。野付風蓮道立自然公園の特別地域。根室湾に面し,長さ約6.5km,2列の砂州から成り,幅は最大でも1.5km,最高点は北西部にあり3.2m。シュンク・ニタイまたはスンク・ニタイはエゾ松林の意(北海道の地名)。明治12年の「北地履行記」には「シュンクニタイ及ヒヲン子沼ノ内一里方内良材密樹セルヲ以テ伐木スルヲ禁セリ」とみえ,現在でも国有林として針葉樹がよく保存されている。北西・東南の両端には水路があって島状をなし,明治9年には根室の実業家柳田藤吉らが両端に渡し場を開設したという(根室市史)。その後東南端の当灰(東梅)には温根沼(おんねとう)の左岸に接して架橋された。北西端は風蓮湖の中央の開口部となり,別海町との境界をなすが,かつては遠太の駅と呼ばれる渡し場があった。西別・標津(しべつ)へ行くには根室湾岸沿いが主要路となっていたため,遠太の渡は「風蓮沼の口にして,渡頭の幅員二百二十間あり,其の広濶なること本道四位に位す」(北海道旅行記)るものであったが,強風時には不通になる難所のため,逗留を余儀なくされることも多かった。砂州上および周囲にはヨシ・アシの低位泥炭が発達し,微高地にはアカエゾマツの樹林帯がある。これらは野鳥の生息地で,ガン・カモ・シギ・チドリのほか,国特別天然記念物のタンチョウヅルやオオワシ・オジロワシなど約250種を数え,冬季にはオオハクチョウも多数飛来する。南東部では6月下旬に幅60m,長さ4kmにわたりハマナスの大群落が開花する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7003988