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樽前山
【たるまえさん】


苫小牧(とまこまい)市と千歳市の境界にある山。標高1,038m。支笏洞爺国立公園の支笏湖南岸に位置する。完新世に噴出した輝石安山岩からなる三重式火山で,扁平な円錐形をなす。山体の北部と西部は風不死(ふつぷし)火山と支笏カルデラにより発達をさまたげられるが,東方と南方は火山灰や浮石層の支笏噴出物からなる広い裾野が展開する。山頂には東山を最高点(1,023.8m)とする直径1.2kmの半円形の外輪山があり,中心に中央火口丘がある。これは明治42年に粘性の高い溶岩が押し上げられてできた溶岩円頂丘が,火口を埋めたもの。全体として三重式火山となる。現在円頂丘上部の裂隙とその南の小爆発火口から白煙を上げ,外輪山の南部には苫小牧市の樽前山神社の奥宮がある。外輪山周辺は砂礫地で植物が少なく,7合目付近には山名を冠したタルマエソウ(イワブクロウ)やシラタマノキ・コケモモなどが群落をつくる。南麓の伏流水を水源とする,苫小牧市域内の中小河川は工業・生活用水として利用される。明治期に王子製紙の設立にあたり,山麓東斜面の針葉樹林払下げが重要な役割を果たし,現在は人工造林地となる。登山ルートは支笏湖畔と,北西斜面のシシャモナイ沢のコースがある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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