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天売島
【てうりとう】


留萌(るもい)地方羽幌町の沖合い約28kmにある島。天売焼尻道立自然公園のうち(昭和39年指定)。周囲12km,面積5.5km(^2),最高点184.5m。主に新第三紀の輝石安山岩で構成され,北西から南東方向に傾動し,5段の海岸段丘が発達し,段丘面にはかつて漁家の副業として馬鈴薯が作付けされた。古くはテウレ・テヲシリとも呼ばれ,天明2年以降は松前広時の支配地で,「福山秘府」には「松前広時所,借天宇礼,也武計支利」とあり,「北夷談」には,ニシン・アワビ・イリコの生産のためアイヌが出漁したとあり,「ヤンゲシリ,テヲシリと云ふ島二島有り。当所(トママイ)持にて,無人しま也。テシヲ川上の夷其外此辺の夷出漁をなして業とす」と記される。天明6年からは栖原角兵衛が場所請負人となり,安政4年には和人の出稼人,数十人が来島した(入北記)。松浦武四郎の「山川地理取調図」にはこの島の21の地名が記載され,文化年間に栖原の創建による弁天社がある弁天地区はワッカクシナイ,天売港は弁財船が碇泊したことからベンザイトマリとみえる。明治以降も主にニシン漁業を目的とした来島が多く,特に秋田県南秋田郡の戸賀村や北浦町の出身者が多い。漁業はウニ・アワビ・イカ・カレイ・タコなどの沿岸漁業が中心で,焼尻島との間の武蔵水道が主要漁場。特に西海岸は高さ150~200mの海食崖が発達し,屏風岩・赤岩などの奇岩・景勝に恵まれ,島内一周路のほか4つの展望台がある。またこの島は海鳥繁殖地としても知られ,昭和13年には国天然記念物に指定された。島の断崖には一名オロロン鳥とも呼ばれるウミガラス,ケイフマリ・ウミネコなどが渡来し,群生する。羽幌港との間には定期船が通い,夏期には多くの観光客が訪れる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7005278