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苫東工業基地
【とまとうこうぎょうきち】


苫小牧東部大規模工業基地の通称。胆振(いぶり)地方東部から石狩地方南部にまたがり,苫小牧市・厚真(あつま)町・早来(はやきた)町・鵡川(むかわ)町と千歳市に及ぶ。新全国総合開発計画により大規模プロジェクトとして設定され,面積は1万400haに及ぶ。掘込港湾の苫小牧港が現苫(げんとま)ないしは苫小牧西港と呼ばれるのに対し,その東部にあることから苫東・東港とも呼ばれる。この基地の南部は勇払(ゆうふつ)平野の一部で,前面には数列の砂丘が発達し,背後は湿地で,勇払川・安平(あびら)川が蛇行,海跡湖の弁天沼などの沼沢地がある。北部は標高20m前後の樽前火山噴出物などからなる台地で,戦後開拓により柏原地区などで酪農化が進展した。基本計画によれば当初の生産規模は鉄鋼年産2,000万t,石油日精能力100万バーレルなどであったが,石油危機により計画は頓挫し,内容も変質した。工業用地は全体の47%に当たる4万9,000haで,臨海部のC・B地区と呼ばれる旧弁天地区は鉄鋼・石油化学などの素材型工業用地,背後の台地のE地区は関連工業用地として想定される。用地の造成・分譲は第三セクターの苫小牧東部開発会社が行い,これまでに立地した業種は基地中央のD地区のいすゞ自動車をはじめ,北電苫東厚真発電所・コールセンター,国家および民間の石油備蓄基地がある。港湾施設の一部も建設され,昭和55年には第1船が入港。しかし,広大な用地が未利用のままで,千歳空港と結合した先端産業の立地や宇宙関連産業などの誘致などが検討されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7005644