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新冠川
【にいかっぷがわ】


日高地方新冠町を流れる2級河川。流路延長77.3km,流域面積402.1km(^2)。日高地方では沙流(さる)川に次ぐ長流。日高山脈中央部の戸蔦別(とつたべつ)岳南方の神威岳(1,756m)に水源を発し,山脈西縁を南西に流れ,日高海岸で太平洋に注ぐ。中・上流は,山脈西縁の山地内を従順的に流れるが,日高造山運動に伴う褶曲帯ではしばしば先行谷をなし,屈曲も多く急流で谷底平野に乏しい。下流は,丘陵域に直線状に谷底が開け,両岸に3~4段の河岸段丘と氾濫原が発達する。海岸沿岸部には,丘陵の末端に3~4段の海岸段丘が発達する。河口左岸に新冠町の市街がある。寛永年間,流域で松前藩により砂金が採取され(新冠町史),河口部には,松前藩支配下の時代には場所,幕府直轄時代は会所が置かれた。安政5年松浦武四郎は新冠川を上流まで探検し,滑若(なめわつか)付近でのヒエ・アワ・キビ・ソバの耕作に触れている(東蝦夷日誌)。現在,新冠川の河谷の低地や段丘は,軽種馬産地になり競走馬の生産で知られる。馬産の起こりは,開拓使雇米人,E.ダンの設計で新冠牧場が開かれたことに始まり,明治16年~昭和22年に宮内省の御料牧場であった。上流が急峻なため明治期以降4回の大水害に見舞われ,昭和31年から災害土木助成で築堤が開始された。上流では電源開発が進み,日高地方の水系一貫型電源開発の中心河川として,新冠ダム(昭和49年竣工)・奥新冠ダム(同38年竣工),下新冠ダム・岩清水ダム(同44年竣工)が完成し,洪水調節も図られている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7006166