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西蝦夷地
【にしえぞち】


近世の,蝦夷地西部の地域称の1つ。東蝦夷地に対して用いた。上蝦夷地・西部・西地・上地などとも称し,フトロ場所から,スツツ・ルルモツペを経てソウヤに至る日本海岸と,ソウヤからシレトコに至るオホーツク海岸を指し,イシカリ十三場所も西蝦夷地に含む。元禄13年の「松前島郷帳」の「従松前西在郷并蝦夷地之覚」の項では,西在から「そうや」までの地名として和人地44か所,蝦夷地45か所を挙げ,のち西蝦夷地と称される地域がオホーツク海沿岸方面までは含まれずに「東在郷并蝦夷地」のうちとして示されている。「元禄国絵図」では「従松前西」の蝦夷地として「ふとろ」から「るしや」まで66か所と離島4か所をあげている。「津軽一統志」は「松前より上蝦夷地所付」として「松前」から「ソウヤ」まで和人地を含め100か所,「蝦夷志」では「在西者」として「ウスヘチ」から「ソウヤ」まで52か所の地名を記す。西蝦夷地の場所はクドウ・フトロ・セタナイ・スツキ・シマコマキ・スツヽ・ヲタスツ・イソヤ・イワナイ・フルウ・シヤコタン・ビクニ・下ヨイチ・上ヨイチ・ヲシヨロ・タカシマ・ヲタルナイ・イシカリ・アツタ・ハマヽシケ・マシケ・ルヽモツペ・トママイ・テシホ・ソウヤ・モンベツ・アバシリ・シヤリの28か所で,後に若干の増減がある。文化4年に上知され,以後東蝦夷地と同様の動きをする。西蝦夷地が東蝦夷地と大きく異なる所は,アイヌの人口減少が激しく,後世にコタンを1つも伝えていない点である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7006220