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根室新酪農村
【ねむろしんらくのうそん】


根室地方の根釧(こんせん)台地で実施された根室区域農用地開発公団事業の通称。根室市・中標津(なかしべつ)町・別海町・標津町のほか,釧路地方浜中町の一部を含む6万9,582haを対象とし,受益農家は1,527戸。道の第3期総合開発計画の基幹事業として策定され,国営・道営事業などを組み合わせ,国際水準の大規模酪農を実現しようとするもので,未利用地の農地化,道路・用水など基盤施設の拡充に重点を置く。開発予定地に草地と所要施設を有するいわゆる建売り牧場が,別海町のパイロット・ファーム地域内の美原(旧床丹第一地区)のほか,奥行・東矢臼・香川など11地区に94戸建設され,移転跡地の再配分と草地の分散を解消するため,大規模な交換分合も実施された。これらの事業を背景に農業従事者2人,経営耕地50haで,乳牛飼養68頭が目標とされたが,多くの農家は100頭以上の規模で,EC諸国の水準を超えている。この事業によりかつての広葉樹の疎林地帯には広域農業道路が整備され,高さ20mを超えるスチール・サイロやスラリー槽をもつ近代的畜舎が出現し,根室地方の新たな観光資源となっている。また事業の中心地となった別海町には乳業工場のほか,飼料・肥料,農機具販売店などが立地。しかし近代的経営施設の実現によって農家負債も急増し,乳価などの停滞が農業経営の維持を一層困難にしている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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