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東大雪
【ひがしたいせつ】


かつては裏大雪といった。十勝地方と上川・網走両地方との境界をなす山地の総称。音更(おとふけ)川の源流域をなし,大部分が石狩岳連峰を構成し,十勝地方上士幌町十勝三股地区を取り囲むよう,ニペソツ山(2,013m)をはじめ石狩岳(1,962m)・音更山(1,932m),ユニ石狩岳(1,771m)のほかクマネシリ山塊,ウペペサンケ山(1,870m)などがある。旭岳を中心とした大雪火山群が表大雪と総称されるのに対し,かつては裏大雪と呼ばれたが,昭和35年頃から東大雪に改称。表大雪の山系が火山を主体としたなだらかな山稜が多いのに対し,東大雪は古生層に花崗岩類が貫入して浸食が進み,険しい山稜と深い谷を有するのが特色。中でも東大雪第1の高峰ニペソツ山は鋭峻な頂きをもち,山頂からみる石狩岳連峰は大雪山系の中でも屈指の景観で,尾根筋にはシャクナゲなどの高山植物も多い。石狩岳は根曲り廊下と呼ばれる登山路から沼の原を経て,表大雪への縦走も行われる。「チエクベツ川筋より石狩水源見届日記」を記した松田市太郎の記録の中に「チヘツ山後より東の方へ凡そ半里程長き平山これあり,東の方は無名の高山に続き」とあり,石狩岳と思われる山を無名峰とする。昭和47年に層雲峡から分岐して三国トンネルにより東大雪を通る国道273号が開通,新たな観光ルートとなった。東大雪を冠したものには新得(しんとく)町トムラウシ温泉の国民宿舎東大雪荘や上士幌町の糠平(ぬかびら)温泉にある東大雪博物館などがある。石狩川以北の岩塔群やお花畑で知られるニセイカウシュッペ山(1,879m)や武利岳・武華山などを総称して北大雪と呼ぶこともある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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