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フンベの滝
【ふんべのたき】


十勝地方広尾町にある滝。広尾市街地南端の広尾橋南岸,約1.5kmの浜フンベに位置する。落差二十数mの滝で,太平洋に面した海崖に架かり,上方では1本だが,途中から幾筋にも分かれて落下する。崖下を国道336号(黄金道路)が通る。一帯の崖の背後は,かつて広尾川の右岸支流東広尾川が海岸に流れて形成した谷底面で,海岸方向に緩く傾斜する。滝のかかる崖はこの谷底が海岸浸食により削られて後退してでき,海岸線では小湾を形成し,滝は崖を刻む小懸谷から落下する。この滝につながる懸谷内の河川は流路延長約200mだが,背後の谷底の基盤岩とその上に堆積した砂礫層との間の湧出水が水源となっており,年中かれることはない。崖の背後のかつての谷底面はこの滝以外に河川をもたず,海側から見ると風隙(ウインドギャップ)の形態をなす。松浦武四郎は,安政5年の2度めの十勝探検で広尾に向かう途中,この滝を見,「頗る風景の趣也」と述べ,付近の地名を「フンベマムイ(岩岬)」と記し,鯨ある湾の意味と解している(東蝦夷日誌)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7007620