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弁天島
【べんてんじま】


根室市の根室港の西方800mにある島。玄武岩質の,高さ11mの海岸段丘が続く。小湾をなす根室港の前面になるため船舶は,北はベニケムイ岬,南はパリノウシ崎の水路を出入する。松浦武四郎の「納沙布日誌」には「ホロモシリ,海上五丁,周九丁,今大黒島トイヘリ,上ニ弁天社有,其内大船懸リ間ニヨシ」とあり現在の名称とは異なるが,文化年間の「東蝦夷地名場所様子大概書」には「弁天社営一ケ所,是は会所の地より一丁程も離れ,弁天島と唱ふるあり,此の地に祭る」とあることから弁天島の名が定着していたと思われる。弁天社は明治23年の「北海道旅行記」では「西端に市杵島神社あり俗に弁天社と称す。天保三年の頃高田屋嘉兵衛の創建したるものなりと云ひ」とされるが,弁天社の創建時はさらにさかのぼるか。明治5年に灯台が設置され,根室港の修築計画に沿い,第1期拓殖計画では島の西端を起点に西防波堤,第2期拓殖計画では北防波堤が設置された。明治初期に発見された遺跡からこの島はかつては北方系民族の文化圏に属したと思われる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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