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向別川
【むこうべつがわ】


古くは向地(むこち)川といった。日高地方浦河町を流れる2級河川。流路延長17.2km,流域面積59.9km(^2)。日高山脈西縁に水源をもち,南西に流れ日高海岸で太平洋に注ぐ。最上流は山脈の先白亜系の堅硬な砂岩域を刻み急峻だが,これより下流は白亜紀の堆積岩からなる丘陵域を流れ,流れも緩流で谷底平野が開け,河岸段丘はあまり発達しないが肥沃な沖積地である。元和元年の「蝦夷道中記」に「浦河ムクベツに会所有」とみえ,当時この川に和人の往来があり,安政3年の「蝦夷行程記」には「右岸に良材樹木森々茂り,又田園開くべきの地」とある。松浦武四郎が安政5年にこの川岸を溯上した際は,アイヌ住民が畑作を行い,インゲン豆がよくできていると述べ(東蝦夷日誌),谷底の肥沃さを物語る。開拓は「浦河町史」によると,明治初年堺町に秋田県人が入り,稲作と馬の飼育に成功したのが始まりで,稲作を主体に馬産を加えた農業地域となった。奥地の上向別は戦後昭和26年,開拓移民が入ってから開けた。河口の堺町市街は,浦河町市街が低平地に乏しいため,戦後農産物の集散地として商店街・宅地が発達した。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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