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雌阿寒岳
【めあかんだけ】


十勝地方足寄(あしよろ)町と釧路地方阿寒町の境界にある山。標高1,499m。阿寒国立公園の南西端に位置する。アイヌ語でマチネシリと呼ばれ,女山の意。北東には阿寒湖を挟んで雄阿寒岳(別名ピンネシリ,男山の意)がある。松浦武四郎の「戊午日誌」には「女アカン岳」「マチ子シリ」とみえる。阿寒カルデラの南西壁上に噴出した第四紀更新世の複雑な構造をもつ成層火山で,10か所以上の噴出中心があり,主に輝石安山岩からなる。雌阿寒岳の主体をなすのは中マチネシリで,山頂には周囲約1.5kmの第1火口,火口原には第2火口と溶岩円頂丘,その北西部には第3火口がある。最高峰のポンマチネシリはその寄生火山で,頂上には二重の爆裂火口があり,昭和30年に起きた水蒸気爆発は,以後断続的に続く。南西方にはコニーデ型の寄生火山,阿寒富士があり,西麓にはオンネトーなどの堰止湖がある。火口内には硫黄鉱床があり,江戸期から断続的に採掘された。山腹の標高1,000m付近まではトドマツ・エゾマツの原生林で,それ以上はハイマツ帯となる。標高1,200mから山頂部にはメアカンキンバイ・メアカンフスマなどの高山植物が群生する。頂上からの眺望は四囲に開け,眼下には阿寒湖・雄阿寒岳,西方は大雪連峰や日高山脈まで遠望できる。登山路は阿寒湖畔からと雌阿寒温泉からがあり,日帰り登山が容易である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7008842