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藻岩山
【もいわやま】


札幌市南区の北部にある山。標高530.9m。都心から南西へ5kmほどの所に位置する。新第三紀に属する基盤の上を安山岩質の溶岩流が覆い,頂上付近には柱状節理がみられる。山名はアイヌ語の「モイワ」により,小さい山の意であるが,元来はここより北へ約2.8kmにある円山(225.9m)を指していた。松浦武四郎の「後方羊蹄日誌」には「エンカルシベ」とみえる。エンカルシベはインカ・ウ・ペ(見る・眺む・何時もする・もの)で,「アイヌ語小辞典」では「いつもそこに上って,敵を見張ったり,物見をしたり,行先の見当をつけたりする所」と説明する。札幌市内各所から望める市の象徴的な山で,山頂からは遠く暑寒別(しよかんべつ)や夕張の連山も眺望できる。山頂まではロープウエーとリフトがあり観光自動車道路も通じ,南東麓にはナイター設備をそなえた市民スキー場がある。南の硬石(かたいし)山(371.0m)との間に挟まれた北ノ沢・中ノ沢・南沢・川沿(かわぞえ)地区は蔬菜・花卉を栽培する近郊農業地域であったが,昭和40年代に急速に宅地化が進んだ。南西麓の中ノ沢地区は大半が市街化調整区域のため,昔の面影が残る。北麓の大部分は天然林で,ハルニレ・カツラ・エゾイタヤ・ミズナラ・オヒョウ・ハリギリなどの冷温帯落葉広葉樹とエゾマツ・トドマツなどの北方針葉樹に覆われる。樹種は喬木類41種,灌木類54種,つる植物12種あり,北海道全体の木本種の半数以上が生育する。シダ植物の種類も多く,草本種の中にはモイワナズナ・モイワラン・モイワシャジンなど山名を冠した植物も多い。大正10年に藻岩山原始林として国の天然記念物に指定された。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7008912