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焼尻島
【やぎしりとう】


留萌(るもい)地方羽幌町の日本海沖合い25kmにある島。天売焼尻道立自然公園のうち。周囲12km,面積5.3km(^2)で,新第三紀の火成岩を主体とし,4~5段の海岸段丘がみられ,最高点は97m。幅4kmの武蔵水道を挟んで天売(てうり)島と相対する。古くはヤンゲシリと呼ばれ,「夷諺俗話」には「是はテシヲという場所にて……同持場の内,八,九里沖ニテウレ,アンゲシリとて島二つあり」とある。また古くから,日本海沿岸のアイヌの入漁地となり,「北藩風土記」には「両島ハ三冬ト雖ドモ略アタタカナル島故,近郷ノ蝦夷コノ島ニ来テ年ヲ迎フ」と記される。集落は北岸と東岸に分布し,天明6年には運上屋があったとされ,松浦武四郎の「山川地理取調図」には島の北東端にフンベトマリの記載がある。天売島とともに古くからニシン漁業によって開け,場所請負人の栖原角兵衛が文化年間に創建したという弁天社がある。特に秋田県など東北・北陸地方からの入稼漁業者が多く,大正10年にはニシン建網漁業者の約半数は秋田県人であった。漁業はウニ・アワビなどの浅海漁業のほか,イカナゴ漁が大きな比重を占める。最近は天売島の西約5kmにある武蔵堆漁場へのスケソウダラ漁業にも進出しているが,本州の中型底引船や外国漁船との競合がみられる。明治19年に小樽~稚内(わつかない)航路の寄港地となり,昭和10年には対岸の苫前(とままえ)・羽幌両町を結ぶ航路が新設された。島内には水源涵養林を兼ねるイチイ・ミズナラ・ハンノキが繁茂し,イチイは国天然記念物に指定された。一周道路も整備され,かつてのニシン番屋が旅館や宿泊施設に転用されて夏期には多くの観光客や海水浴客が訪れる。羽幌港との間には1日4便の船便がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7009115