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夕張山地
【ゆうばりさんち】


空知地方と上川地方の境界にある山地。北海道中央部の南西域を占める。北は天塩山地に続き,東は上川盆地から富良野盆地に至る低地帯を挟んで石狩山地と相対し,南の日高山脈に連なる。西側は石狩平野により増毛山地と,また勇払平野により北海道南西半島部と隔てられる。大局的にみると,南北性の高まりは3列ある。1つ目は上川盆地・富良野盆地,さらに占冠(しむかつぷ)・日高の小盆地に山麓階をなす急崖で接する山脈で,富良野西岳(1,331m)・芦別岳(1,726.9m)・夕張岳(1,667.8m)などの主峰が並び山地の脊梁をなす。南は沙流(さる)川で日高山脈と画される。山体は起伏が大きくかなり開析され,壮年期状の山地で,東西は衝上断層で限られ,芦別傾動地塊または芦別ブロックと称する,西に傾いた傾動地塊の形態を呈する。この西側に2番目の高まりがあり,幾春別岳(1,063m)を中心に北の美唄(びばい)から南の登川へ続き,東の主稜とは芦別川・シュウパロ川・穂別川・鵡川(むかわ)を結ぶ低地線で画される。高度は低まり従順形になるが,内部は褶曲を伴う複雑な断層系が走り,やはり西へ傾く傾動地塊状の形態で,美唄傾動地塊,美唄ブロックないし夕張ブロックと呼ばれる。また美唄付近の傾動地塊を空知山地と呼ぶこともあり,西縁は丘陵性を帯びる。最後は,馬追丘陵とその北方に続く高まりで,東の山地とは由仁・安平低地,茂世丑(もせうし)川・市来知(いちきしり)川の谷で画される。最高250m強の丘陵区で,両翼に断層が走り,西斜面が緩傾斜。山地の北縁を空知川とするのが一般的であるが,さらに北の幌内山地と音江山を含め石狩川・神居古潭(かむいこたん)の先行谷で画す広義の見方もある。夕張山地の地質は,東から先白亜系の神居古潭変成帯,アンモナイトなどを含む白亜系の砂岩・泥岩類,石炭層を挟む古第三系の砂岩・泥岩類,新第三系の砂岩・礫岩・泥岩類と並ぶ。山地の形成は,日高造山運動に伴い,神居古潭変成帯が深部から背斜構造を造りながら西側へ乗り上げ,かつての海底堆積層の白亜系を屹立・横臥させ,古第三系以降の堆積層も圧縮を受け,褶曲と断層を生じながら隆起したと考えられる。形成過程は,プレートテクトニクス(オホーツク海遠方にあった陸塊,アメリカプレートが移動して衝突)により根本的なメカニズムが解明されようとしている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7009290