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夕張岳
【ゆうばりだけ】


夕張市と上川地方南富良野町の境界にある山。標高1,667.8m。夕張山地中央部に位置する。芦別岳(1,726.9m)に次ぐ同山地の主峰で,富良野芦別道立自然公園に属する。夕張岳,北西の前岳(1,501m)・滝ノ沢岳(1,353m)の3山が連なり,それぞれ本岳・雄岳・雌岳とも呼ばれ,広義にはこれらの総称をいう(夕張市史)。夕張川上流部のシュウパロ川・ペンケモユウハロ川・白金川の水源となる。山体は,神居古潭変成帯にあたり,輝緑凝灰岩,硬質砂岩などの堆積岩類,変成岩・蛇紋岩からなり,第三紀から第四紀にかけての褶曲・削剥の過程で,山頂付近の東西斜面とは高さの違う2つの開析面が形成され,山域周辺と急斜面で区画される。山頂部は南北に細長く切り立つ。夕張岳は,本岳が屏風を立てたような形,前岳は鋭い3つの尖峰をなし,遠方からも目立つため,航海の目標として古くから知られた。寛文6年,東蝦夷地を行脚し,各地に観音像を残した円空上人の「ゆうはりたけこんけん」と刻む像があったという(夕張市史)。幕末には,伊能忠敬・松浦武四郎がともに「ユウハリ山(岳)」と記し,山名は古くから定着していた。寛永年間から砂金の存在が知られ,明治31年頃まで,断続的に鉱山として採掘された。大正3年の三菱大夕張炭鉱の開坑以来,山域の森林資源が着目され,昭和30年頃まで木材搬出用の森林鉄道が敷かれた。山頂を中心に高山植物のお花畑が広がり,この山地帯特有のイヌヨモギ・ミヤマシャジン・タカネオミナエシ・ユウバリソウ・ユウバリリンドウなど約170種が知られる。登山道はペンケモユウハロ川沿いに前岳を経由するものと,南富良野町のトナシベツ川を詰めるものとがある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7009294