100辞書・辞典一括検索

JLogos

6

羊蹄山
【ようていざん】


後志(しりべし)地方倶知安(くつちやん)町・ニセコ町・真狩(まつかり)村・喜茂別(きもべつ)町・京極町の4町1村にまたがる山。標高1,893m。南東の尻別岳(1,107m)・橇負(そりおい)山(715m),南西の昆布岳(1,045.1m)などと羊蹄火山群を構成し,支笏洞爺国立公園に属する。富士山に似たコニーデ型火山で,その秀麗な姿から蝦夷富士とも呼ばれる。アイヌ語では一帯の山々をマツカリヌプリ(真狩川の上の山の意)と称し,尻別岳のピンネシリ(男山)に対し,羊蹄山はマツネシリ(女山)とされる。「日本書紀」斉明天皇5年3月条の阿倍比羅夫の蝦夷地遠征の記事に「後方羊蹄山」と見えるが,青森県青森市後潟付近に比定する説のほか諸説があり,不詳。底面の直径は約12kmあり広い裾野をもつ。山頂部には大釜と呼ばれる直径700m・深さ200mの火口があり,融雪期には火口湖となる。沖積世に形成された火山で安山岩質からなる。山頂からは四方に多数の放射谷が走り,涸谷をつくる。北西麓の標高300m付近には爆裂火口跡といわれる半月湖,北北西麓の標高350m付近には砕屑丘の富士見山(394m),山頂北壁の北山などの寄生火山がある。山麓にはミズナラ・イタヤカエデ・ハリギリなどの広葉樹林が発達し,標高1,200mの6合目付近まではトドマツ・エゾマツなどの針葉樹林がみられる。さらにダケカンバ・ミヤマハンノキなどが混生し上部広葉樹林帯(ダケカンバ帯)が続き,その上はハイマツ帯となる。ハイマツの下にはキバナシャクナゲ・ミヤマエンレイソウ・コケモモなどがみられ,山頂付近はお花畑となる。登山路は西側の比羅夫,南側の真狩,東側の留産,北東の京極からあり,頂上付近の火口の中に山小屋があり,スキー登山を楽しむ人が多い。山麓一帯は火山灰土壌に覆われる畑作地帯で,ジャガイモ・アスパラガス・ビートなどの生産が盛ん。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7009375