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猿ケ森砂丘
【さるがもりさきゅう】


下北郡東通村にある砂丘。桑畑山南麓の尻労(しつかり)集落から太平洋岸に沿い,猿ケ森・下田代・小田野沢集落にまたがる。南北に長さ17km・幅1~2km。縄文時代の海進,海退の繰り返しによって形成されたとされる古期砂丘と,その後の東方からの卓越風によって大量の砂の供給を受けてできた新期砂丘によって構成される。新期砂丘には海岸防砂林として部分的にはクロマツの植栽が行われているが,飛砂による風紋や砂丘の移動など砂丘地の諸現象が観察できる。古期砂丘は,砂子又丘陵東方に発達する台地や段丘に沿い,標高15m程度の丘陵をなし,クロマツ・アカマツなどで覆われている。この前面(東側)に新期砂丘が形成され,この間に湿原や妹沼・長沼・大沼・左京沼などの池沼が散在する。一帯にはヒノキアスナロ(ヒバ)の埋没林が分布し,年代は紀元前660年~紀元1120年(C(^14)の測定値)とされる(東通村ヒバ埋没林調査報告書)。明治初年の「国誌」の小田野沢の項に「山間不毛の地多海浜には池沢あり昔(天文寛永の洪水なるへし)洪水せし時にヒの木山崩れ材幹土砂中に埋しにか砂子又村及当村の山間海辺諸在往々沈木を掘出せり」とあり,古くからこの存在は知られていた。特に,猿ケ森地区では直径1mを超える立枯状のヒノキアスナロが林立しており,自然環境保全法に基づく昭和48年の県条例により「黒マツの海岸砂防林の中に百数十本のヒバの埋没林が出現する特異な自然現象地」の指定を受ける。砂丘地の大部分は,防衛庁技術研究本部下北試験場となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7011067