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胆沢
【いさわ】


旧国名:陸奥

(古代)奈良期~平安初期に見える広域地名。蝦夷村の汎称の1つ。のちの胆沢・江刺両郡地帯に当たるが,南の磐井郡方面も漠然と含まれていたかと思われる。和賀・稗貫(ひえぬき)方面は「遠胆沢(とおいさわ)」と呼ばれていた。初見は「続日本紀」宝亀7年11月28日条。ここに「陸奥の軍三千人を発して,胆沢の賊を伐つ」とあり,次いで延暦8年6月9日条に「胆沢の地は,賊奴の奥区」,同7月17日条に「所謂胆沢は,水陸万頃,蝦虜生を存するところなり」とある。日高見蝦夷の中央に当たるところであったことがわかる。アテルイ・モタイのようなすぐれたエゾ族長のもとにかなりの村落形成も進んでいた。延暦8年の胆沢会戦に焼失したムラは14村・家屋800戸とある。最も強力な蝦夷村であったために,ここに胆沢城を築き,鎮守府を移して「北の都護府」の役目を負わされることにもなった。延暦23年までに胆沢郡が置かれているが,これは旧胆沢村そのものの読み替えであるから,その中には,のちの江刺郡も含まれていた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7013567