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大窪山
【おおくぼやま】


気仙郡三陸町北西部にある山。標高838m。山名は,大きな窪地に見える森山という,地形からの説が有力である。北上山地南部の分水嶺が太平洋に向かって枝分かれした稜線上にあり,五葉山の南に続く花崗岩からなる山。五葉山県立自然公園の大窪山地区に当たり,海に近いこともあって各種の珍しい植物が見られる。岩手植物の会の調査(昭和44年10月)によって発見されたアカエゾマツのほか,ヒノキアスナロ・ミネヤナギ・ダケカンバ・ウラジロヨウラク・ムラサキヤシオ・ミヤマガマズミ・ミヤマイボタのような亜高山帯や深山でしか見られないもの,ヤブツバキ・クマノミズキのような暖帯性の植物も見られる。また,ホンシュウシカの群生地として知られ,本州の北限に当たる。当山の北麓に大窪山放牧場がある。標高540~700m,面積344ha。昭和27年から県による開拓事業が行われ,一時は26戸を数えた入植農家も次第に離農し,同39年に解散。その跡地を利用して,同52年に牧場が完成した。現在広域農業開発事業(昭和55~59年)により道路・草地造成など基盤整備が行われている。牧場は三陸町農協が管理し,夏季に農家の肉牛を預かって放牧している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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