100辞書・辞典一括検索

JLogos

10

片羽山
【かたばさん】


片羽山という独立峰はなく,雄岳(1,313.2m)と雌岳(1,291m)からなる山の総称名。「遠野物語」32話に見える伝説の山でもある。北上山地の中部に位置し,遠野三山の1つ六角牛(ろつこうし)山(1,294.3m),大峰山(1,147.5m)と東に肢節した稜線の頂点に当たる。準平原的な趣は全くなく急峻な山で,ハイマツやダケカンバ・アオモリトドマツなどの亜高山針葉樹林もみられる。「遠野物語」には「千晩ケ岳は山中に沼あり。……昔何の隼人と云ふ猟師あり。其子孫今もあり。白き鹿を見て之を追ひ此谷に千晩こもりたれば山の名とす。其白鹿撃たれて遁け,次の山まで行きて片肢(かたあし)折れたり。其山を今片羽山と云ふ」とあるが,これには異説もあり,隼人が仕止めた鹿の皮剥ぎにとりかかったが,片羽を剥いで残りの片方にとりかかろうとすると一方の皮が元通りにくっついてしまい,鹿が起き上がり駆け出したので片羽山の名があるという。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7014105