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栗駒山
【くりこまやま】


須川岳(酢川岳)・大日岳・駒ケ岳ともいう。一関市の西方に在り,宮城県栗原郡栗駒町・花山村と秋田県雄勝(おがち)郡東成瀬村にまたがる山。標高1,628m。須川岳の名は本県側の呼称で,強酸性水を磐井川に流すことによる。秋田県側では,東の空に仰ぐことから大日岳とあがめる。宮城県側では,駒形の残雪が種まきの目安となることから駒ケ岳と呼び,本県和賀郡にある駒ケ岳と区別して,郡名の栗をつけ栗駒の名で呼称する。複式コニーデ火山(円錐火山)で,その周辺には寄生火山的な小さな火口を伴っており,山体は浸食を受け,火山地形は明瞭でない。外輪山は南側だけを残し,北側はほとんど崩壊。外輪山の最高部が頂上の大日岳。この外輪山は西に延び虚空蔵山・秣岳と続き,宮城・秋田の県境となっている。中央火口丘の剣岳は,須川温泉の南方1.5km付近の溶岩流跡で,今では美しい天然の庭となっている。剣岳はトロイデ型をなす。その後の爆発で頂上部が裂けて二分している。中央火口丘の山裾にかけて火山作用が残り,須川温泉が湧いたり,噴気するところがある。剣岳のすぐ下では激しい硫化作用が起こり,その跡が硫黄採掘の場として利用されてきた。火口原の一部は名残ケ原・竜泉ケ原と呼ばれ,湿原お花畑となっている。栗駒山を主峰とする山々の山腹は磐井川・成瀬川・皆瀬川・迫川により深く開析されている。標高1,000m付近までブナを主とする広葉樹林が発達し,頂上にかけて高山植物群落がみられ,山頂はハイマツ群落が占める。雪渓や雪田が多い。当山の火山活動の記録は,享保年間に硫黄噴出燃えるとあり,寛保3年・天明3年に小爆発が起こり,下って明治28年鳴動,昭和19年剣山トロイデの近くでガス爆発して,昭和湖と秋田県側の須川湖が出現した。噴出土が磐井川に流れ込み魚類に被害が及んだ。同21年芦の口付近で鳴動などがある(岩手県気候誌)。剣岳の溶岩流末端部には今でも噴気があり,蒸し場として利用されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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