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早池峰山
【はやちねさん】


東根岳・東岳とも呼ばれる。遠野市北端,稗貫(ひえぬき)郡大迫(おおはさま)町と下閉伊(しもへい)郡川井村の境にある山。標高1,914m。北上山地の最高峰で,ほぼ中央部に位置する。山名は,アイヌ語で東方の脚の意をもつパヤチニカによる説とか,祈願すれば水が湧出するという意味で早池の泉と命名された山頂の霊池による説などがある。山体は蛇紋岩・橄欖岩などからなる残丘(モナドック)。植生に特色があり,高山植物の宝庫といわれる。北側には,ヒノキアスナロ(アオモリヒバ)の原生林があり,さらに高所ではアオモリトドマツやコメツガの林がよく発達する。南側は急傾斜で岩石の山肌を見せ,高山植物が分布する。国天然記念物に指定された貴重な植物は南斜面と頂上付近から稜線一帯に見られる。当山固有のものにはハヤチネウスユキソウ・ナンブトラノオ・ナンブトウウチソウなどがある。山頂に早池峰山大権現が祀られ,山岳信仰の対象とされてきた。県内では,岩手山・姫神山とともに岩手三山として崇敬され,さらに六角牛山・石上山とともに遠野三山として地域の人々には,いっそう身近な霊場になっている。かつては,女人禁制の霊山であったが,現在は登山も盛んに行われ,西の大迫口,南の遠野口,北の門馬口などの登山口が多く利用される。県を代表する山伏神楽の伝承地で,大償修験の伝える大償神楽,岳集落伝承の岳神楽の2系統があり,鳥兜をつけて踊る古代神楽として有名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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