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樋口沢
【ひぐちざわ】


大船渡市日頃市町板用地内を流れる盛川支流の沢。沢そのものは変化に乏しいが,盛川から西へ500m付近の斜面に,昭和12年東北大学の小貫義男博士によってシルル紀(ゴトランド紀)の示準化石が発見され,全国的に有名になった。この地層は石灰岩からなり,わが国では地質年代が明確な地層として最も古いもので,約4億年前の古生代シルル紀のものである。下位層の川内統と上位層の高稲荷統に区分される。川内統の石灰岩の中には,クサリサンゴ・ハチノスサンゴ・四射サンゴなどのサンゴ類,層孔虫などの腔腸動物,アトリバなどの腕足類の他,石灰藻などたくさんの海の動植物の化石が保存よく含まれている。また,付近は,3億数千万年前はサンゴ礁からなる暖海であることも示された。のち,他県でもシルル紀中頃の地層が発見されたが,当沢のように交通の便に恵まれ,良好な状態で分布した化石を多く産する所は例がないことから,標式地とされている。昭和30年樋口沢ゴトランド紀化石産地として国天然記念物に指定された。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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