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焼石岳
【やけいしだけ】


胆沢(いさわ)郡胆沢町西方に位置する山。標高1,548m。北に牛形山・鷲森山,南に経塚山・駒ケ岳などを擁する焼石連峰の中心をなす山で,扁円頂丘状の頂上部と南に続く横岳・獅子ケ鼻岳から成る。一種の溶岩台地であるが,火山地形は,長い間の浸食のため明確な形は見られない。火山活動があったため,山が焼けているように見え,山頂には焼石が散らばっている。冬の季節風をまともに受けるため,大量の積雪に見舞われ,東斜面には5~6月まで大規模な雪渓が残る。雪渓が次第に溶けて所々に山腹をまだらに彩るのが雪田である。山腹には沼地・湿地があり,高山植物やブナ原生林が多い。積雪が多いこの連山には,ダケカンバ・ミヤマナラ・ミヤマハンノキなどの落葉性の樹木が灌木化して高山帯まで続いている。雪田のあるところでは,草だけが繁茂して草原となり,ヒオウギアヤメ・シナノキンバイ・ミヤマキンポウゲ・ツルキツネノボタン・ミズバショウ・ミズゴケ類などが一時に咲き誇る。1,400m以上の地域は高山性の植物で覆われ,姥石平―焼石頂上―横岳にかけて,さらに東方へ続く山々の稜線部にかけて植生が発達している。頂上や稜線にかけては乾性植物群落,姥石平から横岳東斜面一帯の雪田には湿性植物のお花畑があり,乾湿両様の美しさが特色である。お花畑には,樺太・シベリアなど北方のものや,本州でも限られた所にしか成育しない植物などが分布し,貴重な高山帯となっている。登山コースは夏油(げとう)温泉から経塚山―天竺山―焼石岳への縦走コースと石淵ダムのふもと尿前から尿前林道を経て中沼上沼を通るコースがある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7016325