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音鳴洞
【おなりどう】


「おなりあな」とも読み,鳴洞窟・管弦洞ともいう。気仙沼市の気仙沼内湾北側神明崎にある洞窟名。「奥羽観蹟聞老志」によれば,洞口は西北に向かって3間余で,内は広く水が青くよどみ,奥も深さもはかり知れない所に,「千体万貌」の詞をもっても尽くし切れないほどに,岩が人間や禽獣のような奇態に立ち並んでいる。土地の人は仏陀菩薩が現われる所と信じ,毎年暮春に洞窟内から聞こえる琴瑟簫鼓の音は,聖衆来迎して音楽を奏している音であるとして,音鳴洞(おなりあな)というようになったとされている。また,「封内風土記」には往古の郷人たちは知恵もまだ発達しておらず,ただ常に仏を信じて鬼を怖れてばかりいたので,この洞内に仏が現れ楽を奏すると信じたが,これは自然界の潮の動きにより波音が洞内に響いて起こる音である。しかしこの音を聞く人々はそれを知らずに驚き不思議がったと記載されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7017133