桂島
【かつらしま】

石巻市の荻浜湾前面海上にある島名。標高20m余。竹浜に所属する。島内には弁財天の小祠がある。古来霊島として人の立入りが制限され，島から一木一草たりとも持ち出すことを禁じていたため，自然がよく保存されている。北半分には石巻地方のタブ林中最も自然度の高いタブ林が発達。タブ林のまわりにはイブキが群落をなしている。そのほか，モチノキ・シロダモヤブツバキ・トベラ・オオツルマサキ・キズタ・ヤブコウジなどが群生，常緑樹が多い林床で，シダ類で最古の形態を残すといわれるマツバランの北限をなす。また，頂上に鎌倉期の正安３年11月８日の紀年銘のある板碑があり，他の同年代の板碑と推定されるものには，丹那・二郎・玉三郎・四郎・次郎・大郎・平太郎と刻されており，竹浜の開発と関係のある一族の供養碑と思われる。現在，島周辺は格好のカキの養殖場となっている。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7017251