100辞書・辞典一括検索

JLogos

ノ上坂
【さえのかみさか】


の坂ともいう。本吉郡津山町柳津(やないづ)字小麻囲にある坂名。桃生(ものう)郡桃生町と境をなす。「安永風土記」には,長さ92間,南は桃生郡寺崎への通路と記され,当坂を近世の気仙道(けせんみち)(明治初期に東浜(ひがしはま)街道と改称)が通り,柳津の町から北上山地に至っていた。「ノ上」は本来は塞神(さえのかみ)で岐神(ちまたがみ)すなわち道祖神であろう。交通の要衝なので峠にこの道の神をまつってその安全を祈願したものと考えられる。明治42年から昭和7年の北上川改修工事により,坂の下方から切り通されて,閘門(こうもん)・洗堰等が設置された。現在の県道はノ上古道の真下辺に当たると思われる。川の中流に残る山の先端が「巻の鼻」(安永風土記)で崖下は,「ノ巻」と称され水竿3本以上,北上川航行上屈指の大難所であった。閘門はパナマ運河式で,長さ158m・幅15m・高さ5.05m。洗堰は長さ23.6m・幅14.6m・高さ6.5mで大正14年着工,昭和7年完成。一般に「柳津閘門」という。また坂の登り口付近に,享保14年元肝煎の村伏金押領・大判山所有等をめぐる裁判に敗れ,徒党を組み虚偽の事柄を申し立てたかどにより,「柳津村に於て獄門」を仰せつけられた(刑罰記)義民四良次の刑場跡がある(一説には柳津村と同郡黄牛村境)。ちなみにこの時の連判村民140名中,有罪者肝煎以下7名うち獄門2名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7017751