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仙南仙北
【せんなんせんぽく】


仙台市を中心として宮城県を南北に二大別するときの呼称。すなわち県南・県北の意味で用いる。宮城県は全県仙台藩領をなしていたために,宮城県を南北に分けるより,仙台の南北とした方が具体性を持っていたのである。今日でも広く用いられている。仙南は,旧刈田(かつた)・伊具・亘理(わたり)・柴田・名取諸郡,仙北は,黒川・加美・玉造(たまつくり)・志田・遠田(とおだ)・栗原・登米(とめ)・牡鹿(おしか)・桃生(ものう)・本吉諸郡をさす。この区別は,大体は古代の多賀城以南とその北の奥郡に対応し,自然・歴史・文化の在り方もかなり異なっている。すでに天明8年,古川古松軒が幕府の巡見使に随行して東北・北海道を視察したとき,この「2つの宮城県」の違いを指摘している。仙台藩領でも仙台までは上方風に開けている。しかし仙台から北はまだ蝦夷の伝統を残して一歩遅れている。そういう批評をしている(東遊雑記)。なお,福島県の中通りを仙道と呼んだのを,後世「仙台への道」のように説いたりするものもあるが,これは俗説で「仙道」は「山道」の意味である。また秋田県にある仙北郡ももとは「山北郡」(比羅保許(ひらほこ)山の北)の意味で仙台には関係がない。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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