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籬島
【まがきしま】


塩竈湾頭,陸地にもっとも近い島。塩竈より松島に向かう遊覧船が最初に見る松島はこの島である。今日も朱塗りの鳥居が松の緑に映えて美しい。「古今集」大歌所御歌のうちのみちのくうた「わがせこを宮こにやりてしほがまの まがきのしまの松ぞこひしき」の歌に始まるしおがまの浦は歌枕の名所。このまがきしまの歌は風俗歌,つまりこの地域の民謡に始まったもので,その本歌では「わがせこ」は「わがせな」とあった。この歌は,夫を遠い都に旅立たせ,まがき島の松の緑をながめやりながらその帰りを待ちわびる妻の歌である。当時のこのような都への旅は,衛士として宮門の警固にあたるか,調庸などを運ぶときの運脚夫として徴発されるときなど以外には考えられず,松島周辺におけるみちのく人たちの古代律令体制への組みこみを物語る史料としても貴重。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7019116