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玉川
【たまがわ】


仙北(せんぼく)郡を貫流し大曲(おおまがり)市に至る川。奥羽山脈の大深(おおふか)岳(1,541m)に源を発し,渋黒川・小和瀬(こわせ)川・生保内(おぼない)川・檜木内(ひのきない)川・斉内(さいない)川など23の小支流を合し,大曲市花館付近で雄物(おもの)川に合流。流路総延長は130km,雄物川の各支流中最長の1級河川。田沢湖町を貫流する上流域は山地を刻んで,小盆地と渓谷を形成。生保内盆地と抱返り渓谷はその代表。仙北郡角館(かくのだて)町・中仙(なかせん)町・大曲市を貫流する中・下流域は川幅が広く,河川交通時代は玉川船が往来し,大船は長野(仙北町)まで,中船は角館岩瀬浜(角館町)や,まれには広久内(ひろくない)(同前)まで上った。長野の町はにぎわい,二日町・六日町・九日町の市場が発達した(藤田秀司:玉川舟)。玉川の水は強酸性で悪名高い毒水として,流域の農産物に多大の被害を与えてきた。除毒の歴史は天保年間に始まり,今日もなお種々の対策が続けられている。玉川水系の包蔵水力は非常に大きく,東北では福島県只見(ただみ)川水系に次ぐ電源の宝庫。流域には生保内発電所をはじめ,神代(じんだい)・先達(せんだつ)・夏瀬・鎧畑(よろいはた)・田沢・小和瀬・小沢の各発電所がある。なお,昭和48年から,鎧畑の上流の堤高100mの玉川ダム建設計画が進行中。この多目的ダムの完成時には玉川地区129世帯が水没する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7021817