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鳥海山
【ちょうかいさん】


「とりのうみやま」とも読み北山(ほくさん)・北の山・大物忌(おおものいみ)山ともいい(地名辞書),秋田富士ともいう。県南西部にある山。山形と秋田の県境にそびえる鳥海火山帯の主峰,山頂は山形県に属するが北斜面は秋田県に属し,由利(ゆり)郡象潟(きさかた)・仁賀保(にかほ)・矢島・鳥海の4か町村に及ぶ。標高2,230m,橄欖(かんらん)石・輝石安山岩・溶岩からなる二重式コニーデ型火山。山名の北山・北の山は北辺における高山を意味するという。鳥海は山頂にある鳥海湖や鳥海氏に関係するとの説もあるが,詳細は未詳。火山体は旧火山の西鳥海と,新火山の鳥海本岳(享和岳)に分けられる。最高点は享和元年の噴火によってできた新山。この火口から流出した泥流は,日本海岸の象潟から平沢(ひらさわ)までの間に泥流地形を展開し,象潟の景勝をつくった。鳥海山とその山麓一帯,さらに飛島(とびしま)を含む3万2,500haの地域は国定公園(日本地誌)。有史以来,鳥海山の噴火は記録され,文政4年の噴火以来,153年ぶりに昭和49年に噴火した。山頂付近から多くの放射状谷が発達しており,本県側では奈曽(なそ)川・白雪川・西目川・子吉(こよし)川となり,滝や渓谷をつくり,山麓を浸食しながら日本海に注ぎ,電源や観光の対象となっている。当山は古くから霊山として信仰され,山頂には,奈良期から大物忌神社がまつられ,別称大物忌山の由来ともなった。また平安期には修験道場として栄えた。現在も大物忌神社のほかに,鳥ノ海御浜神社・祓川(はらいかわ)神社などがある。荒神(こうじん)ケ岳・行者(ぎようじや)岳・伏拝(ふくはい)岳・文珠(もんじゆ)岳などの地名が残されている。当山の植生は海岸地帯の常緑広葉樹,山麓のスギ造林帯や草原からブナその他の落葉広葉樹林,1,000m以上は奇形灌木帯からハイマツ帯となり,高山植物は120種ほど分布する。登山シーズンは7月上旬から9月中旬まで。登山口は,象潟口・矢島口・小砂川(こさがわ)口・百宅(ももやけ)口がある。象潟と吹浦(ふくら)を結ぶ鳥海ブルーライン有料道路も完成した。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7021846