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乳頭山
【にゅうとうさん】


烏帽子(えぼし)山ともいう。仙北(せんぼく)郡田沢湖町と岩手県の境にある山。標高1,478m。十和田八幡平(はちまんたい)国立公園のうち。本県側から見た山容は穏やかで,乳房のように見えることから「にゅうつむり」「にゅうとう」などと呼ぶ。烏帽子山は玉川の支流,小和瀬(こわせ)川上流にもあるが,同山は佐竹藩木山方役人の作成した古地図に乳頭山と記載されており,乳房は2つなければおかしいという意味で,当時から命名されていたという(町史)。山頂の巨岩は火口壁の一部で,板状節理の絶壁となっており修験の行場であった。現在はロッククライミングの練習場。山頂周辺の平坦地は天然の高山植物園で,本州では珍しいリシリシノブが分布している。山頂南東の笊森山と三角山の間に形成された湿原は,昭和29年,岩手山岳会員が千沼ケ原と命名。山頂西側の渓谷は修験ゆかりの先達(せんだつ)川の源流に当たり,一帯は鶴の湯・蟹湯・黒湯などの名湯が多く,乳頭温泉郷として有名。温泉郷入口には国民休暇村があり,キャンプ場・スキー場など総合的なレクリエーションセンターとして全国的に脚光を浴びている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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