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米代川
【よねしろがわ】


米白川とも書き,野代(のしろ)川・能代川ともいう(地名辞書)。県北部を東西に流れる大河で,奥羽山脈中の岩手県二戸(にのへ)郡安代(あしろ)町根石山付近より源を発し,花輪盆地・大館(おおだて)盆地・鷹巣(たかのす)盆地・能代平野を貫流して,能代市で日本海に注ぐ。流路延長137km,大湯川・犀(さい)川・長木(ながき)川・岩瀬川・早口(はやぐち)川・小猿部(おさるべ)川・綴子(つづれこ)川・阿仁(あに)川・藤琴(ふじこと)川など78の支流を合わせ,その流域面積4,100km(^2)。文字通り,県北部の大動脈である。米代・米白の名は河川の白濁することに由来するといわれ,野代・能代は河口の主邑能代に由来する。奥羽・出羽両山地を横断する先行性の河川であるため,先行性流路にあたる,湯瀬(ゆぜ)・大滝(おおたき)・早口・荷上場(にあげば)付近では,峡谷・急流となり,河川交通時代は難所として知られた。流域一帯は,わが国でも有数の鉱山地帯であり,花輪・不老倉(ふろくら)・小坂(こさか)・尾去沢(おさりざわ)・小真木(こまぎ)・花岡(はなおか)・釈迦内(しやかない)・阿仁(あに)・太良(だいら)などの諸鉱山は,とくに有名。また,流域山地は,秋田スギに代表される,森林資源の宝庫であり,古くから,鉱石・木材運搬のために,十二所(じゆうにしよ)・扇田(おうぎた)・大館・米内沢(よないざわ)・鷹巣・荷上場・二ツ井(ふたつい)などの河港が,能代港を基地に栄えた。「大日本地誌」には「殊に荷上場以下は河水幅広く流緩にして巨船・扁船往来繁く,欵乃の声常に絶えず,頗る重要の交通線路をなせり」とある。また「日本地名大事典」には「天保年間の運搬物資をみると,米・大豆・荏粕・銅・イオウなどを能代に出し,塩・松前物(水産物・水産加工物)・砂糖・繰綿・古手木綿・日用品を,上流各港に荷上げしていた」とある。しかし,明治38年,国鉄奥羽本線の開通によって河川交通は急速に衰えた。また,藩政時代から続いた,米代川の筏流しも,各種陸上交通機関の発達・普及に伴い,昭和39年11月28日をもって終わった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7023391